2次予選1日目(その1)

演奏曲目はこちらを参照。

  • 65 阪田 知樹 日本

最初の委嘱作品は、予想通り私の苦手な無拍子系の現代曲。以降コメントはほとんどしない(出来ない)が、彼の演奏はちょっと音のヌケがよくない気がした。エチュードのChopinはまずまず無難な出来。Rachmaninovは力強く若々しい。中間部はもう少し変化をつけるなど押すだけでなく「引く」ところもあるとさらによいか。最後のLisztは1次のKhristenkoのような手練手管はないが、これも荒削りながら若々しい。

  • 9 アンナ ドミトレンコ Anna DOMYTRENKO アメリ

委嘱作品は、これも印象ではあるが阪田君より音が立っている感じがする。(音響のコントロールは彼女の方が上?)続くLisztのパガ変はスケールが大きく、表現の幅も広い。単にキチンと弾けましたというようなお嬢様芸になっていないのは(当然とは言え)さすが。最後のRachmaninovコレッリは苦手曲だが、彼女のメリハリのある表現のおかげで飽きることなく聴くことができた。ダイナミックレンジなど表現の幅が広く、音色や響きもよく考えられている。

  • 76 内匠 慧 日本

Liszt, Chopinの小品で軽く肩慣らし(?)の後、エチュードのChopin, Ligetiはまずまずの出来(Chopinはホールだと響きが多くて細かい部分がよく聴き取れなかったけど)。そして近代物はこれまたRachmaninovコレッリ。(ちなみに出身校も両者とも同じ英国王立音楽院。)しかしこの演奏もよかった。男性的な深々とした響きがあり、特に鋭い音やキレのある動きは彼の方がさらによかったかも。

  • 11 アシュレイ フリップ Ashley FRIPP イギリス

Debussyの反復音エチュードはまずまず。Rachmaninov前奏曲もスケール感、ダイナミックさなど曲の雰囲気をよく掴んでいる。メインディッシュのBrahmsはやはり苦手曲だけど暖色系の柔らかい音質が曲とマッチして、また曲によっては力強い表現もあり、雰囲気は悪くなさそう。全体的に、地味によい音楽家という印象である。