1次予選4日目(その2)

  • 2 ジェラルド アイモンチェ Gerard AIMONTCHE ロシア

Bachは前奏曲はまあいいとして、フーガは音の出し方がちょっとぶっきら棒。Beethovenも全体の雰囲気・流れは悪くないが、細部の詰めが甘いというかもう少し神経を使いたいところ。和音は充実していた。Lisztはうまくまとめていが、全体を通すと今ひとつ決め手に欠ける。

  • 33 キム ジュン KIM Joon 韓国

Bachはフーガ各声部の弾き分けの面で少し難がある感じだったが、Haydnは明るく溌剌していて悪くない。そして最後のBrahmsがなかなかの出来。抒情性の部分は一昨日のNikiforovに譲るが、メカニックは十分である。

  • 30 スタ二スラフ フリステンコ Stanislav KHRISTENKO ロシア

座っていきなりBachを弾きだしたが、表現に余裕があって上手い。Beethovenもやさしい部類のソナタだが(多分最後のLisztのために短めのこの曲を選んだのであろう)表現の幅が広く、かつツボをよく押さえている。勝負の曲(?)であるLisztもまさに大人の演奏という感じで上手い。力任せにならず決して汚い音は出さないようにしている。欲を言えばクライマックスの交互連打のところはもう少しリズムを明瞭にしたかったが。彼も前日のPetrovと同様、完成されたピアニストという感じである。

  • 26 實川 風 日本

彼は確か何年か前の音コンで入賞している。例のNHKのドキュメント番組では妹のキャラの方が印象に残っているけど(笑)。Bachはやや慎重な弾き方で、ちょっとモゴモゴした感じだがまあこんなものか。Beethvenはすっきりと端正。爽やかさが漂っていてなかなか気に入った。最後のChopinもまさに正統派といった感じで、中間部の表現も繊細な音使いで聴かせる。総合的にはこれまで聴いた日本人では一番良いように思えた。