2次予選3日目(その2)
- 77 アレクセイ タルタコフスキー Alexei TARTAKOVSKI アメリカ
Chopin 10-8はオーソドックスだが悪くない。3番ソナタも、冒頭ちょっと硬かったがすぐに調子が出てきた。すっきりと端正な表現で音が美しい。緩徐部分も甘い音色でよく歌っている(しかし過剰にならない)。終楽章では部分部分でテンポを変えるのは賛成できないが、それ以外はよかった。最後のRachmaninovも美音で聴かせていた。
- 67 佐藤 卓史 日本
Bergは結構メリハリが激しく、真面目さだけではないようだ。委嘱作品も気のせいか吹っ切れた感じでノリがよく、(1次であんなこを書いたからではないだろうが)攻めの姿勢が見える。Chopin 10-1は音コンでも弾いた得意曲(ショパコンで弾いたかな)だけあって手馴れたもの。流れるよう。最後のSchumannは実川君よりよく表現のツボを押さえており、さすが年の功というか、年季が入っている。全体にテンポがよく、流れが沈滞しない。中盤からは一気呵成という感じでグイグイと攻めていく。このシンフォニックエチュードはなかなかの名演であった。
- 92 チュウ ハオ ZHU Hao 中国
Chopin 10-8はTartakovskiよりさらに滑らかで上手い。最後にミスったのは愛嬌か。バラ3もうまく盛り上げていた。Lisztの超絶8番も出だしはちょっと力みがあったが、後は好調。スケールが大きく、ミスはちょこちょこあったが難所の跳躍部分も速いテンポにもかかわらずほとんどノーミス。1次のときもそうだったが、全体的に非常に筋のよいピアニストという感じである。
- 72 ソ ヒョンミン SUH Hyung-Min 韓国
Lisztの回想は音がクリーミー。続いて今回何回目かのスケ3だが、主題の力感、スピード感があってこれもよい。欲を言えば中間部のスダレはもっとデリケートにやってほしいけど(彼のは健康的)。Ravelもテクは十分に魅せた。打鍵、テンポが(韓国人らしく?)ちょっとアグレッシブ過ぎる気もして、もう少し上品な表現も織り交ぜるとよいと思ったが(多少うるさく感じることもある)、最後は十分に盛り上げていた。