2次予選3日目(その1)

演奏曲目はこちらを参照。

  • 30 スタ二スラフ フリステンコ Stanislav KHRISTENKO ロシア

Scriabinの42-5は音が少し団子になっており、響きをもう少し整理したい。Chopinのロンドは右手の細かい動きが軽やかで、いかにも達者。でももう少し左手のリズムを強調してもよい気がする。メインのRachmaninovソナタも暖色系の音色で音に丸みがあるが(この曲に限らず)、ときにはエッジの立った音もほしいところ。全体としてもう一つ決め手を欠く感じ、というか1次のときの期待からすると平凡でやや期待外れであった。

  • 26 實川 風 日本

Chopin 10-9は手堅いがもう少し細かく表情や変化をつけてもよいか。彼はそういうことに関してはちょっと淡泊なようである。メインのSchumannも微妙というか物足りない。表現の細かいところでの詰めが甘いし、変奏ごとのメリハリにもやや欠ける。この曲を弾くなら何か主張、こだわりのようなものを聴きたかった。彼は今年の音コンでこれを弾いたそうだが、今日の演奏を聴くと、本選に進めなかったのもわからないでもない。

  • 55 中桐 望 日本

Rachmaninov 39-8は(それほどのメカの強さを要しないので)彼女に合った曲。続くDebussy前奏曲も(苦手曲であまり詳しくないが)彼女の資質に合っていそう。メインのダンテは出だしの音はまずまずで安心。(ここの音が悪いとあと聴く気が失せる。)その後も音が充実し、緩徐部分での音色も美しい。大好きな曲ということもあって、何度もゾクゾクとしてしまった。本人のインタビューを読むと2次に進めるとは思っていなかったそうだが(私も)、好きな曲でよい演奏を聴かせてくれてありがとうという感じである。

  • 85 シュ ガ−フイ XU Gehui 中国

鬼火は多少ごまかしっぽく聴こえるところもあって、精度の点では微妙だったか。失敗というほどではないが心証を良くする方向にはいかなかった。夜のガスパールも、オンディーヌはメカが冴えていたが、スカルボは今ひとつ。もう少し針の先でつついたような繊細な音がほしいところ。最後のハン狂2はまずまず盛り返したが、ただフリスカはもっと派手に暴れてもよかった気がする。ちょっとおとなしかった。