1次予選5日目(その1)

演奏曲目はこちらを参照。

Bachの前奏曲はしっとりして悪くないが、フーガは主題の旋律がときに凸凹するのが少し気になる。Beethovenも難所の連続和音のところはうまくいったが、そのほかの細かい動きでゴニョゴニョと不明瞭になりがち。Chopinもどこかもやっとした印象で今ひとつ音楽に乗り切れていないように思えた。

  • 67 佐藤 卓史 日本

2001年の音コン優勝者。その後ライヴCD等を買ったことはあるが、生で聴くのは音コン以来である。Bachは安定し自信に満ちている感じ。フーガも響きを抑えて端正な表現。Beethovenもがっちりとした構築物を思わせる隙のない演奏。ただロマン派の入り口のような曲なのだから個人的にはもう少し幻想性や自由さがあってもよい気がする。(日本人らしく音色のパレットがあまりないのもそう思わせる一因かも。)最後のChopinもやっぱり真面目。あくまで構成感重視なんだろうけど、もっと大いに歌ってもよい気がする。

  • 90 ユ ヒョンジ YOU Hyun-Ji 韓国

Bachは前奏曲途中で止まってしまって最初から弾き直し。それは仕方ないとして全体にもう少し起伏をつけたいし、フーガもやや不安定で、もっと溌剌感を出したいところ。Haydnも線が細いというか指の弱さを感じる。ちなみに珍しく提示部の繰り返しを行い2回目に変化をつけていた。最後のLisztも、この線の細さでメフィスト?と思ったが果たしてその危惧通りで、聴いていてちょっとつらいものがあった。

  • 49 ニコライ メドヴェージェフ Nikolay MEDVEDEV ロシア

Bachはシンプルでこぢんまりとした演奏で、前奏曲などちょっと素っ気ない気もするがこういう解釈もアリか。だがBeethovenは明らかに音が弱く、もっと力強さがほしい。展開部もモッサリしていてメカの弱さを感じる。最後のSchumannになってやっと元気が出てきて、他の曲もこれくらい覇気を見せてくれればよかったのだが。。