1次予選3日目(その2)

Bachはモノクロームな感じで何かもう一工夫ほしいところだったが、Beethovenは和音の響きが深々として充実。全体の起伏のつけ方もうまい(ツボを押さえている)。欲を言えば右手の動きがもう少しクッキリしているとよいか。Lisztは出だしから音色で聴かせるし、ラプソディックな歌い方も堂に入っている。フリスカの細かい音型も非常に繊細で軽やか。、年齢的にみて(29歳)、もう完成されたピアニストという感じである。

  • 1 安部 まりあ 日本

Bachはストレートな、ある意味日本人的な音だが安定感があって悪くない。Haydnは昨日のNikoforovとは対照的なやや硬質な音だが、落ち着いたテンポで完成度が高い。こういう演奏もアリと思わせるだけでも成功しているかも。だが最後のChopinは今ひとつで、もう少しリズムにキレというかメリハリがほしいところ。ちょっとのっぺりしている。

Haydnは抒情的かつメリハリが効いていてこれも完成度が高い。Bachも流麗な弾き方で自然な起伏が感じられる。フーガも音色に非常に神経を使っているのが伝わってくるというか、音色のコントロールがすばらしい。と、ここまではよかったが最後のLisztは(期待の大きさからすると)やや微妙。もう少しアゴーゴクに工夫ができそうな気がするし、和音の響きも輝きのあるものにできると思う。

  • 51 峯 麻衣子 日本

Bachはちょっとしたミスはあったが響きがきれいで悪くない。Mozartも曲のツボをよく押さえている。特にトリルは理想的にキマっていた。細かな瑕が多少あったのが惜しい。今回は女性は3曲目が鬼門になっていることが多いが、果たして彼女もその罠にはまっていたか。Chopinは音はきれいだけど音色の変化が少ないし、リズムのキレ、アゴーギクなど表現の面でも少し物足りない。